12月 28 2007
「俺たち、本当にそこにいたのか?」
「俺たち、本当にそこにいたのか?」
そう言ったのはステージの上の酔っ払ったニコニコ殺人おじさん(32)。
先日の10年以上の付き合いの連中だらけの初期ハイパーリッチパルスな雰囲気の2007年の中で、だ。
みんな大人になって、いろんなものを得ていろんなものをなくした。
こけら落としのアンダーワールド初来日は2日とも行ったぜ、なんて息巻いてた新宿リキッドはもうそこにはなく、夜中遊びに出てなければ始発で通ったマニアックラヴもなくなった。
日曜はそこに行けば誰か仲間がいて、中にも入らず「なんか入ってた?」と聞いて前でたむろしたりすることもあったし「イベントやろうぜ」なんて語り合ってたシスコテクノ店がなくなって、みんなで何かと話題になってたフロッグマンの冬眠がようやく発表になった。
あの頃を過ぎて来た連中が思い思いに前向きだったり回顧的だったり文章をつづる。
現代の音楽業界事情や心意気。
言ってることはわかるけどなんだか僕にはピンとこないんだ。
僕はさ、幼い頃、身内が死ぬことなんてないなんて気になってたみたいに、自分が通ってきたそこが永遠にあるような気がしてただけさ。
兄弟3人が世代ごとに溜まり場として通ってた地元のゲーセンもある駄菓子屋のババアが今じゃもう死んでるみたいなもんだよ。
だって何もしてないしできないしする気もなかったし、でも悪いことしたなんて思ってないもの。
ただ、10年前と街の風景が変わったことに寂しさを感じてるだけで、10年前遊んでた場所がもうなくて、それがあまりにも最近立て続けで。
俺たち、本当にそこにいたのか?
翌日はscopeのワンマンを見に行って、翌週はホンダレデイを見に行って新譜を買って帰って来た。
ここ数年、僕がもっぱらやる気をわけてもらってる10年来の友人でもある2組のライブはとても素晴らしく、感動し、打ちのめされた。ホンダレディの新譜は根拠無く音楽を辞めていいかな、と思わされる出来で、そんな事を考える自分に対して「ま、やめないけどさ」なんてひとりごちる午後。
足踏みしたって靴底が減るのなら、前に進んだ方がきっと得だね。
大丈夫、楽勝だ。お日様は出てる。
僕たち、本当にあそこにいたんだ。
あそこから、ここまで来たんだ。